オルソケラトロジーとは?

皆様はオルソケラトロジーをご存知ですか?
オルソケラトロジーとは特殊な形状のハードコンタクトレンズの裏面で角膜を圧迫して角膜のカーブを変えることによって、近視や乱視などの屈折矯正を行なう視力補正方法です。一部では近視の進行を抑制する効果があると言われていますが、実態はどうなのでしょう?

それでは、オルソケラトロジーについて、早速ドクターに聞いてみましょう。

オルソケラトロジーという言葉はあまり聞き慣れないのですが、どのような治療なのでしょうか?
オルソケラトロジーは通常のコンタクトレンズとは違い、特殊なコンタクトレンで角膜を変形させ(図1)、一時的に近視や乱視の屈折矯正を行う視力補正方法のことです。(図2)。

オルソケラトロジー用レンズを装用した角膜
図1:オルソケラトロジー用レンズを装用した角膜
あすみが丘佐野眼科医院 佐野研二先生提供
特殊なコンタクトレンズで角膜を変形させている。外してからの近視の矯正効果は8時間~36時間程度で、装用をやめれば角膜形状も元に戻る。

オルソケラトロジー用レンズ
図2:オルソケラトロジー用レンズ

ちょっと想像がつかないのですが、コンタクトレンズで角膜が変形するんですか?
はい、その通りです。
オルソケラトロジー用レンズは通常のコンタクトレンズとは違い、中央部が扁平になっていて、角膜に圧力をかけるように設計されています。これを夜間装用して、昼間は眼鏡やコンタクトレンズなしで過ごすわけです。
どのくらい効果があるのですか?
オルソケラトロジー用レンズを一晩装着した場合の視力補正効果は、個人差やもともとの屈折度数による差はありますが、8時間~36時間程度効果が持続します。

屈折矯正には様々な種類がありますが、その中でもオルソケラトロジーのメリットは何でしょうか?
昼間は裸眼で過ごすことができるということです。また、オルソケラトロジーは手術ではないので、レーシックのように角膜を削って目を弱くしてしまうということもありません。通常、治療をやめれば角膜を元の状態に戻すことができます。角膜の形状は就寝時のレンズ装用を中止した場合、2~3日かけて徐々に戻っています。最終的には1ヶ月程度で元の角膜カーブに戻ります。
一見便利そうですけど、デメリットはどうですか?
そうですね、注意すべき点、デメリットも多くあります。
まとめてありますので、こちらをご覧下さい。

1) 視力の質と日内変動
夜間の視力の低下、視力の日内変動やコントラスト感度の低下によるものがはっきりしないなどが生じる場合があります。視力の質(見え方)は眼鏡やコンタクトレンズより劣ります。

2) 角膜障害
オルソケラトロジー用レンズは夜間装用ができるように、非常に酸素透過性能の高い素材からできています。それでも角膜中央部に圧力をかけながらの夜間装用はリスクを伴い、角膜潰瘍などの角膜障害が起こる事があります。

3) レンズの汚れ
オルソケラトロジー用レンズは酸素透過性が高い素材のため汚れが付きやすく、特にレンズ内面の汚れには注意が必要です。汚れの中には細菌がいますので、レンズのこすり洗いなどは必ず行い、レンズケースの洗浄と乾燥をしましょう。

4) 弱い近視しか矯正できない
オルソケラトロジーによる屈折矯正が十分に効果を示すのは、個人差もありますが、近視であればメガネの度数でせいぜい4D(ジオプター)までです。屈折異常の程度が大きくなればなるほど、朝、レンズを外してからの近視への戻りも大きく、一日の中で見え方も変化します。さらに強度の近視矯正を行なう角膜矯正用レンズをオルソケラトロジーとは異なる名前で宣伝しているのを見かけることもありますが、これも原理はオルソケラトロジーとまったく一緒で、角膜障害や近視への戻り、一日の中での見え方の変化といった問題は、さらに大きくなると考えられます。

5) 定期的な検査が必要
オルソケラトロジーはコンタクトレンズですから当然定期検査が必要です。角膜に圧力をかけて夜間装用するというリスクの高い特殊なコンタクトレンズであることを認識しなければなりません。処方時にうまくレンズがフィッティングされたとしても、就寝中にレンズがずれてしまう場合があります。オルソケラトロジーは角膜の中心に良好にフィッティングされた時に視力が改善するように設計されているため、レンズが中心からずれたまま矯正されると不正乱視が起きて良好な視力を得ることができません。また、角膜障害の原因ともなります。角膜障害の予防や、良好な視力補正効果を保つために定期検査は必須となります。
なるほど。危険性もあるんですね。
ちなみにオルソケラトロジーは何歳くらいから始められるのでしょうか?
オルソケラトロジーには、近視の進行を抑制する効果があると一部で言われていますが、この近視抑制効果は、医学的根拠に基づいたものではありません。子供の近視の進行を止めたいという親心も解りますが、安易にオルソケラトロジーを行うことは危険性を伴い、勧められません。日本眼科医会、日本眼科学会、日本コンタクトレンズ学会は適応を20歳以上としています。
最後にオルソケラトロジーを検討されている読者の方へひと言お願いします。
オルソケラトロジーは、レーシックのような、やり直しの効かない手術でもなく、通常のコンタクトレンズのように昼間外れてしまうこともありません。一見魅力的ではありますが、デメリットもあります。基本的に治療をやめれば角膜は元の状態に戻るのですが、戻りが遅い場合もあります。また、角膜潰瘍などの重い角膜障害を起こしたときには角膜が濁り、矯正視力も低下してしまうこともあります。オルソケラトロジーを検討されている方は、デメリットもよく考え、必ず眼科専門医に相談して決めるようにしてください。
わかりやすいご説明ありがとうございました。
前へ次へ
ページトップへ